筋肉痛と水分の関係
さて「筋肉痛には、運動する時間の長さや負荷に対する筋肉の耐久性が関係している」と言います。例えば、普段まったく運動をしていない人が急にテニスをして、コートで1時間ボールを追ったとします。おそらくその人は筋肉痛になってしまうでしょう。あるいは、1時間くらいの練習では筋肉痛にならない人が、2時間、3時間とハードな練習をして筋肉に負荷をかければ、やはり筋肉痛になるかもしれません。筋肉にその運動を長くし続けられるだけの耐久性がなかったり、普段よりも大きな負荷がかかったりした場合に、筋肉痛になると考えられます。
では、どのようなメカニズムで、痛みが引き起こされるのでしょうか。
「まず、負荷をかけたことにより筋線維がミクロの損傷を受けます。それが炎症を引き起こし、痛みの原因になります。筋肉痛が回復すると、傷ついた筋線維は以前より少し太くなります。つまり、定期的に筋肉が少し痛む程度の負荷をかければ、筋肉は少しずつ鍛えられ、耐久性がつくともいえます」。ただし、筋肉痛にならなくても、筋肉は定期的な刺激によって鍛えられていきます。
痛みが引き起こされるもう1つの原因が、脱水による筋肉内の循環不全です。運動中は発汗によって水分が失われ、体内の血流が減少します。この血流の減少が酸素不足や代謝産物の蓄積を招き、負荷をかけた部分が凝ったように硬くなってしまいます。それにより、痛みが生じるのです。
「運動前や運動中、水分を十分に摂取するかしないかが、筋肉痛の発症に大きくかかわってきます」と木元貴章。脱水は筋肉だけでなく体全体にも悪影響を及ぼすので、特に夏は注意が必要です。