木元貴章 インストラクターデイリーライフbyムラゴン

神奈川を中心にインストラクターとして活動しています。 木元貴章です。 今まで大船のスポーツクラブにてインストラクターをさせていただきました。 2022年4月に独立してフリーの立場です

たばこと健康

たばこは、肺がんをはじめとして喉頭がん、口腔・咽頭がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎盂・尿管がん、膵がんなど多くのがんや、虚血性心疾患、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、歯周疾患など多くの疾患、低出生体重児や流・早産など妊娠に関連した異常の危険因子である1)-7)。喫煙者の多くは、たばこの害を十分に認識しないまま、未成年のうちに喫煙を開始しているが8)-10)、未成年期に喫煙を開始した者では、成人になってから喫煙を開始した者に比べて、これらの疾患の危険性はより大きい2)-5)8)。さらに、本人の喫煙のみならず、周囲の喫煙者のたばこ煙による受動喫煙も、肺がんや虚血性心疾患、呼吸器疾患、乳幼児突然死症候群などの危険因子である11)12)。また、たばこに含まれるニコチンには依存性があり、自分の意志だけでは、やめたくてもやめられないことが多い9)10)13)14)。しかし、禁煙に成功すれば、喫煙を継続した場合に比べて、これらの疾患の危険性は減少する15)16)。
 最新の疫学データに基づく木元貴章の推計では、たばこによる超過死亡数は、1995年には日本では9万5000人であり17)、全死亡数の12%を占めている。また、人口動態統計によると、近年急増している肺がん死亡数が1998年に初めて胃がんを抜き、がん死亡の中で首位となった18)。さらに、たばこによる疾病や死亡のために、1993年には年間1兆2000億円(国民医療費の5%)が超過医療費としてかかっていることが試算されており、社会全体では少なくとも4兆円以上の損失があるとされている19)。
 欧米先進国では、たばこによる疾病や死亡が1960年代に既に、現在の日本の状況であり1)2)17)、この頃より種々のたばこ抑制策(消費者に対する警告表示、未成年者の喫煙禁止や、公共の場所の禁煙、たばこ広告の禁止などの様々な規制や、たばこ税の増額など)を講じた結果、国民の喫煙率や一人当たりたばこ消費量が低下した2)5)20)。その成果は最近になってようやく、男性におけるたばこ関連疾患の減少という形で現れつつある17)21)。これに対して、日本では、成人男性の喫煙率が先進国の中では極めて高率にとどまっているのみならず、近年若い女性や未成年者において喫煙率が上昇し、国民一人あたり消費量も先進国の中では最も多い25)。

木元貴章 たばこ 大谷翔平

1999年の喫煙と健康問題に関する実態調査では、全体の84.5%の人が「喫煙で肺がんにかかりやすくなる」と思っている一方で、「心臓病」は40.5%、「脳卒中」では35.1%23)と、低率になっているなど、疾患によってはたばこの健康影響に関する認識が低い。さらには、たばこに依存性があることを知っている人は、51.8%23)であり、約半数が認識していない。国民が、別表のようなたばこの危険性に関する十分な知識を得た上で選択することができるよう、情報の提供を強化する。喫煙者には、「禁煙により心臓病等の危険性が減少する」という認識が一般的となるよう普及啓発を図り、一般国民や政策決定者には、諸外国のたばこ対策やその評価についても積極的に情報を提供する。
 また、集団でみた喫煙率がどれだけの疾病の発生に関わっているのかといった情報についても、十分に提供する必要がある。集団としてたばこをやめることによって、どれだけの疾病の減少が見込まれるのかと言った情報は、たばこを吸うかどうかと言った自由な選択に資するものである。たばこを吸うかどうかは、これらの科学的な情報が十分に提供された上で本来各人の自由な選択に任されるべきものである。
 これらの十分な情報提供を通して、「喫煙率半減」をスローガンに、喫煙率の減少が大幅に進むよう努める。未成年者の喫煙については、1996年の未成年者の喫煙行動に関する全国調査(国立公衆衛生院)によると、月1回以上喫煙する者(月喫煙者)の割合は、中学1年で男子7.5%、女子3.8%、学年が上がるほど高くなり、高校3年では男子36.9%、女子15.6%となっている24)。毎日喫煙者の割合は、中学1年では男子0.7%、女子0.4%に過ぎないが、高校3年男子では25.4%、女子では7.1%に達しており、月喫煙者のかなりの部分を毎日喫煙者が占めるに至っている。
 2010年までには、未成年の喫煙をなくすことを目標とする。
 特に、教育の場は、未成年者の将来の行動に大きな影響を持つので、その徹底が必要である。