木元貴章 インストラクターデイリーライフbyムラゴン

神奈川を中心にインストラクターとして活動しています。 木元貴章です。 今まで大船のスポーツクラブにてインストラクターをさせていただきました。 2022年4月に独立してフリーの立場です

筋肉痛の悩み その原因とメカニズム

筋肉痛の悩みを解消するためにも、その原因とメカニズムを知っておきましょう。ここでは、どのようにして筋肉痛が起こるのかについて木元貴章が解説します。


「乳酸説」は否定されている
筋肉痛は筋トレや運動などで一定の負荷をかけたときに、後から筋肉に感じる痛みのことですが、筋肉痛のメカニズムはまだ医学的にははっきりと解明されているわけではありません。

木元貴章


かつては乳酸が筋肉痛の原因であると考えられていました。乳酸は激しい運動をしたときに生じる疲労物質であるとされ、これが筋肉内にたまって痛みを引き起こすという説です。しかし、のちに乳酸は再利用されてエネルギーになることがわかり、乳酸が疲労物質であること自体が否定されています。現在では「運動によって損傷した筋繊維に炎症が起こり、刺激物質やサイトカインが産生されて筋肉痛が引き起こされる」とする説が有力です。


一般的な筋肉痛の場合
私たちは過度な運動や不慣れな運動をして筋肉が痛むときに「筋肉痛になった」と認識します。一般に、筋肉痛とは運動をした翌日か翌々日になって起こる筋肉の痛みを指しますが、これは「遅発性筋肉痛」と呼ばれる症状です。久しぶりに運動をした次の日から2~3日の間、筋肉痛に悩まされたという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。一定のタイムラグがあって


起こる筋肉の痛みであれば、遅発性筋肉痛と考えてよいでしょう。


激しい運動や慣れない運動によって筋肉に強い負荷がかかり、筋線維に小さな損傷が生じます。そこから炎症反応が起こり、ヒスタミンが分泌されて痛みを感じるというのが、遅発性筋肉痛が起こるメカニズムとされています。


運動中・直後に起こるもの
運動中や運動直後にズキっとした痛みが生じることがあります。これを「早発性筋肉痛」といい、筋肉の一部が緊張して硬くなったような痛みです。筋肉の緊張によって血流が悪くなると、代謝物である水素イオンがたまります。水素イオンが侵害受容器を刺激し、その刺激が神経伝導路から中枢へ伝わるというのが痛みの仕組みです。激しい動きや大きな負荷をともなう運動など、過度な筋肉の緊張が続くと血流が悪くなり、早発性筋肉痛が起こりやすくなります。


「筋肉痛が遅く出るのは年齢のせい」は俗説
「歳をとったら筋肉痛が出るまで時間がかかる」と信じている人がいるかもしれません。若いときは運動したらすぐに筋肉痛が起きたのに、最近は痛みが出るまでのタイムラグが大きくなったように感じるためです。


しかし、筋肉痛の発症の仕方に年齢の差はないという報告があり、加齢と筋肉痛のタイムラグについて医学的には明確な関係性があるとはいえません。また、年齢よりも運動不足かどうかが筋肉痛の治りにくさに関係があります。運動不足の人は毛細血管が発達していないため、痛みの原因物質を除去するのに時間がかかることに注意しましょう。